東京原発

東京原発

という映画がありまして、友人の薦めもあって見てみました。

タイトルの通りに、東京に原発を誘致しちゃいましょうという内容で、悪い冗談にしか思えない感じですが、作りの内容はなかなかマジで楽しめます。

ほとんど会議室とトラックのシーンしかないモロ低予算なのが丸分かりな映画ですが、脚本と演出と役者の力量でここまで面白くなるとは、映画ってホント面白いですねぇ。

日本のエネルギー関連の研究費(4000億円?)の8割ぐらいが原子力に突っ込まれているというのはちょっと驚き。原子力大国のフランスやアメリカでもそこまで原子力一辺倒にはしないです。

とは言っても、エネルギー関連の研究費というのが、経済産業省が出所なのか、文部科学省なのか、内閣府直なのかといった細かいところまでは言及されていなかったので、本当にそこまで原子力一辺倒なのかどうかは分かりません。

ドイツは原子力利用を避けているそうです。緑の党がかなりの勢力を持っているお国柄というのもあるだろうし、ナチスの過去があるから、絶対に大量破壊兵器は持てないという事情もあるのでしょうし、核兵器が意外と役立たずでコストばかりかかるので、割り切って核技術を完全に捨てているのかも知れないし、ユダヤ人が利権を握ってるウランには手を出さないと決めているのかも知れません。
まあ、ドイツの技術力なら、原子力以外のエネルギー源開発も可能でしょう。

日本がやけに原子力にこだわるのは、エネルギー供給に不安があるからだけではなく、核戦争になった場合に、アメリカに兵器用プルトニウムを供給するための担保としての役割があるからでしょう。良くも悪くも日本とアメリカは一蓮托生です。

作中、原子炉は出力を調整すると非常に危険なので、常に一定の出力で運転しており、電力需要の大小によって供給量を調整する場合には、火力や水力の発電所の出力だけを調整しているとありました。
原子炉を常に一定出力で運転しているから、日本の電力供給の3割が原子力になっているが、原子炉を全部止めても、普段は出力調整している火力と水力をフル稼働させれば、日本の電力需要は十分まかなえるとのことでした。

原子炉は確かに一定の出力で運転し続ける方が安定していて良いので、実際そうしているのでしょうが、絶対に出力を変えてはいけないものではありません。
もし原子炉が出力調整不可能な代物なら、原子力空母や原子力潜水艦はとんでもなく危険な動力を使っていて、とても実用には耐えないことになりますが、実際にはアメリカだけでも100隻以上が稼動しています。

チェルノブイリで有名になった沸騰水型黒鉛炉は、出力調整するとかなり危険なタイプの炉です。にもかかわらず、旧共産圏(北朝鮮も含む)にはこのタイプの炉が多いです。
それはなぜかと言うと、黒鉛炉は兵器用プルトニウムを作りやすいからです。日本で使っている加圧水型軽水炉に比べて、単位時間あたり数倍のプルトニウムを製造できます。

なんで黒鉛炉はプルトニウムがたくさん出来るのかということを解説すると長くなるので、別の機会にしますが、原子炉の利用目的は、一義に兵器用プルトニウムを製造することがあるというのは忘れてはならない事実です。
兵器級のウランを得るには莫大な量のウラン鉱石と、大変な手間がかかりますが、プルトニウムは原子炉を運転していれば得られるので、核兵器の原料として大変都合が良い物質です。

日本の軽水炉は、比較的プルトニウムが溜まり難い形式の炉ですが、それでも長年運転していれば自然とプルトニウムは増えます。
プルトニウムが溜まってくると、非核三原則を掲げている日本が、なんで核爆弾の原料になるプルトニウムをそんなに持ってるのと突っ込まれて体面が悪いので、再処理して原子炉の燃料にしますとかで体裁を繕っているのが、プルサーマルとかMOX燃料の実情なのではないかと思います。

本当にエネルギー供給問題のために原子力を利用しているなら、オーストラリアからウランを輸入しようと計画した田中角栄の後を継ぐものが出てくるはずですが、そういう話は聞いたことがありません。
日本のウランは、ユダヤ系アメリカ人が利権を握っている鉱山から輸入しているもので、政治家は角栄のように失脚させられることを恐れているので、他のルートで買い付けることは出来ません。

今のエネルギー研究のトレンドは燃料電池に向かっているというのも作中ありました。
どうやって低コストで水素を得るのかというところはあまり説明されていませんでしたが、水素はなんにでも含まれているから、極端な話、ゴミからでも抽出できる。燃料電池が実用化されれば、エネルギー問題のみならず、ゴミ問題も解決できるとされていました。

石油ベースのプラスチックや化学繊維は全て炭素と水素が入っているから、ゴミから水素を取るというのは不可能ではないでしょうが、コスト的にはどうなんでしょう。
生ゴミでも、アンモニアには水素が入ってるから一応水素は取れるっちゃ取れます。

燃料電池の燃料は、必ずしも水である必要はなく、水素が得られるなら、アルコールとか灯油でもいい。植物原料のエタノールでやれるなら、意外と低コストで出来るかも知れません。

しかし、エタノールや灯油で燃料電池をやった場合は、CO2が排出されます。化石燃料を燃やして電力や動力を得るのに比べれば、燃料電池の方が効率がよく、同じだけの電力を得るに際して発生するCO2は少なくなりますが、それでも出ないわけではないです。

水やエタノールを電池の燃料にする技術はアメリカが進んでいるますが、灯油を燃料にする技術は日本の方が進んでいます。しかし灯油では化石燃料を消費しているというイメージが抜けないから、主流になることはないでしょう。

燃料電池のような本当の次世代エネルギーの研究は、日本ではやらせてもらえないのではないかと思います。なぜならそういうおいしい特許は、全部欧米(権力者)が握るべきものだから。CPUやOSのように。